その先は永代橋 草森紳一をめぐるあれこれ

「もの書き」草森紳一の蔵書約3万冊は、2009年11月故郷の帯広大谷短期大学に寄贈されました。 このブログでは、以後の草森紳一関連ニュースをお伝えしていきます。写真 草森紳一

「もの書き」草森紳一の蔵書約3万冊は、2009年11月故郷の帯広大谷短期大学に寄贈されました。このブログでは、以後の草森紳一関連ニュースをお伝えしていきます。 写真 草森紳一

書き出し劇場

草森紳一書き出し劇場19 『円の冒険』

あと一週間で2020東京五輪が始まる。 今日の東京の新規コロナ感染者数は1410人。昨日は1271人だった。 一都三県を中心に、全国でもじわじわと感染者数が増えつつある。 このような状況下で開催だとは、全く信じられない。 オリンピック招致に「復興…

草森紳一書き出し劇場18 『争名の賦』

今朝がた、バス停に向かっているとき、秋風に立ち向かうように右肩が前に出て身体が斜になり早足になった。 ふと、草森さんの歩き方みたい、と懐かしく思い出した。そこで、というわけではありませんが久々の草森紳一書き出し劇場です。 今回は『争名の賦』…

草森紳一書き出し劇場17 『荷風の永代橋』

早いものでもう10月。みなさま、お変わりございませんか? 久しぶりの書き出し劇場です。 前回の16回は?と調べてみると、2013年10月21日。 『江戸のデザイン』をご紹介しています。 なんと1年も経ってしまったのですね。 今年は特別にあわただしい日々を…

草森紳一書き出し劇場16『江戸のデザイン』

1972年11月30日、大著『江戸のデザイン』が京都の駸々堂から出版された。 「デザイン」(美術出版社)の1968年9月号から1971年3月号の連載をまとめたもの。 それまで意匠とよばれていた江戸の形や色を「デザイン」という切り口でアプローチした斬新な内容と…

草森紳一書き出し劇場15『あやかり富士』

富士山が、三保松原とともに世界遺産に登録されて、なんて、めでたいと思っていますが、 お中元の季節になり、デパートやショップをのぞいてビックリ。登録からたった一ヵ月しか経たないのに、富士山をデザインした商品が氾濫しています。 富士山の形のお茶…

草森紳一書き出し劇場14 『北狐の足跡 「書」という宇宙の大活劇』

本書が出版されてからもう20年にもなるのかと思う。ご本人も、版元の社長も編集者も、胃がキリキリと痛むような、やはりひどい難産の末の出版だった。 つい先日、『北狐の足跡』を手に入れたいが、どこに問い合わせをすればいいでしょうかというお電話をいた…

草森紳一書き出し劇場13 『狼藉集』

前々回のブログに羽良多平吉氏の名前が出てきたので、今回は羽良多平吉装丁・デザインによる『狼藉集』をご紹介。 草森紳一の著作としては訳書をのぞいて、7冊目。1973年11月、ゴルゴオン社刊です。60年代後半から70年代初めにかけての短文エッセイが105篇詰…

草森紳一書き出し劇場12  『素朴の大砲  画志アンリ・ルッソー』

草森さんのタイトルの付け方は実にユニーク。『狼藉集』、『円の冒険』、『絶対の宣伝』、『見立て狂い』など、タイトルによる草森人物論だってできるのではと思うほど。 やはり四方田犬彦氏が「新潮」2008年8月号の追悼文「スカラベのごとく孤独」(と、思…

草森紳一書き出し劇場11  『旅嫌い』

本の運命はさまざまと思う。この『旅嫌い』の発行は1982年4月10日。マルジュ社という出版社から出て、朝日新聞の書評欄で大きく採りあげられていたのを憶えている。女性作家による、とても印象的な評だったけれど、なにせ30年前のことなので、名前がはっきり…

草森紳一書き出し劇場10 『アトムと寅さん』

前回の「心中いかばかりか〜」に付け加えるならば、 草森さんにとってアトムと寅さんの二つだけを採りあげて日本的壮大なるものを語るのはあまりにフツー、無理があったろう。 「それならやらないよ」とおっしゃったはずだ。 きっと四方田さんもあまり興味を…

草森紳一書き出し劇場9 『食客風雲録』(中国篇・日本篇)

久々の書き出し劇場は、『ユリイカ』の1990年4月号から92年6月号まで連載された『食客風雲録』です。 ともに青土社から1997年11月に出ています。装丁は南伸坊氏。 ご本人によれば「雑誌発表時は、スケール比較のため中国と日本と交互に執筆。単行本では分冊…

草森紳一書き出し劇場8 『悪のりドンファン』 (石岡瑛子氏の訃報に)

石岡瑛子さんが亡くなった。70〜80年代、資生堂やパルコの広告のアートディレクターとして一世を風靡した人だ。1980年の初めに拠点をニューヨークに移し、コッポラの映画『ドラキュラ』の衣装でアカデミー賞を受賞。北京オリンピックの衣装も担当するなど国…

草森紳一書き出し劇場7 『絶対の宣伝 ナチス・プロパガンダ』

イラストレーターの和田誠さんが、表参道のHBギャラリーで東日本大震災チャリティー展示を開催されているという新聞記事を目にした。しかし残念! 12月14日で終了してしまったとのこと。今年は動き回ることが多くて、気がつかなかったのが本当に残念だ。4…

草森紳一書き出し劇場6 『中国文学名作全集1 史記』

平井徹氏(慶應義塾大学講師)による児童を対象にした中国古典の翻訳についてご紹介したので、草森さんの最初の本(訳書)を紹介しなければ! 1967年に盛光社から刊行された『中国文学名作全集』で、表紙にも背にも〈奥野信太郎編集〉が謳われています。草森…

草森紳一書き出し劇場5 『随筆 散歩で三歩』

草森紳一写真展のあとでご紹介しなければならないのは、もちろんこの一冊です。副題に“コンパクトカメラの新冒険”とあり、1992年に話の特集から出版されました。全420ページの大著ですが、あてどなく歩くうちに目に飛び込んできたものを撮る、その草森紳一流…

草森紳一書き出し劇場 4 『写真のど真ん中』

7月14日付でご紹介した草森紳一写真展が、8月8日の月曜日から20日まで森岡書店で開かれます。 小さなスペースですが、草森さんが撮ったスナップがどのように展示されるのか楽しみですね。 で、と言うわけでもないのですが今回の書き出し劇場も、写真に…

草森紳一書き出し劇場 3 『コンパクトカメラの大冒険』

草森さんの写真展があるので、今回はこの本をご紹介。 「散歩狩り」というタイトルで1985年の1年間『アサヒカメラ』に連載されたものと、書き下ろしの「自転車の肖像」などが収録されています。1987年、朝日新聞社の刊行です。 巻頭に居眠りしている人を盗み…

草森紳一 書き出し劇場 2 『悪食病誌 底のない舟』

今回は『悪食病誌 底のない舟』(昭文社出版部・1972年)の最初の見開きから。20編が収録されていますが、トップがルイス・キャロル論でP10からP39まで続きます。 不思議な本書の題名について草森さんは、なかなか決まらず悩んでいた時、偶然開いた『西遊記…

草森紳一 書き出し劇場 1 『歳三の写真』

草森紳一が亡くなってから3年が経ち、11冊の本が出ました。絶版本の復刻をと言って下さる方あり、古本屋でも入手できないという方あり……。電子ブックのようなことはできませんが、シリーズで単行本の見開き1ページ目をご紹介することにしました。 第一回は…

崩れた本の山の中から 白玉楼中の人