あと一週間で2020東京五輪が始まる。
今日の東京の新規コロナ感染者数は1410人。昨日は1271人だった。
一都三県を中心に、全国でもじわじわと感染者数が増えつつある。
このような状況下で開催だとは、全く信じられない。
オリンピック招致に「復興五輪」が掲げられたときから、なにやら胡散臭さを感じて反対だった。むしろ五輪の予算を東北の復興に使うべきだと思っていた。
振り返れば1964年の東京五輪は、戦後の焼け野原からたった20年後の見事な復興の証だった。日本での開催を訴えて世界の都市を行脚し、頭脳と体力とハートの死にものぐるいで招致を実現させ、開催を成功させた当時の人々は、どれほど誇らしかっただろうか。やればできる。しかも世界が集う平和の祭典だ。まだまだ貧しかった日本、無謀な戦争に負けて、卑屈になっていた国民の、自らの尊厳を復活させるような出来事だったのではないだろうか。
今回の2020東京五輪は、全く真逆。組織委員会理事による賄賂と、安倍元首相の「アンダーコントロール」の嘘に始まり、競技場設計、シンボルデザイン盗用、コンパクト五輪の破綻、五輪の運営に重ねてコロナ対策の迷走・無策が重なる。
小さくて非衛生なアベノマスクに260億円(元の予算は466億円!)。GO TO TRAVELでコロナを全国拡大。医療が疲弊しても他人事の、涼やかな政府答弁。広告代理店やJOC、IOCの想像を絶する利権体質等、呆れ果て笑えるほどの種々の問題に加えて、JOC経理関係の自殺者まで出た(私は自殺と思う)。
あまりにも汚れてしまって無惨な五輪だ。現場のスタッフとアスリートたちがただただ気の毒だ。コロナ禍という底の時代に、理念なき醜悪な五輪の現実が露わになっただけなのだろう。
この時期、SNSやテレビで何度も映し出される繋がれた五つの輪は、ひたすら汚辱から逃れようと自由を求めているように思える。・・・・・・
と考えていたら、輪と円とは?環の違いは?・・・など、五輪とは別のところに頭が飛んでいった。いいかげんな私ですねえ。
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そんなわけで、久しぶりの「書き出し劇場 19」は、『円の冒険』です。
文中に、五輪が触れられているわけではないのですけれどね。申し訳ありません!
『円の冒険』は、草森紳一の15冊目の著作です。(晶文社・1977年刊 装丁・平野甲賀)
雑誌「en(あ、ここにもエン)-TAXI」(2005年春号)の<特集 草森紳一 雑文宇宙の発見者>中、<草森紳一氏への33の質問(作・坪内祐三)>に愛着のある自著の一冊として『円の冒険』を挙げていらっしゃいます。
(坪内祐三さんは昨年急逝。私のオフィスは三茶だったので、三茶住まいの坪内さんと、たまにすれ違うこともありました。今年『ツボちゃんの話 夫・坪内祐三』(新潮社)が出て、素顔はこんな方だったのかと面白くて読みふけりました。
「早すぎるんじゃないの」とあちらで草森さんに言われていらっしゃることでしょう)
下は、最初の見開きページ。
下は、刊行当時のインタビュー記事(週刊朝日、1977年号数不明)、若い!!草森さん。
『円の冒険』目次もついでにご紹介。
(草森HP「白玉楼中の人」に全著作紹介と目次も掲載されています)
Ⅰ 肉眼蒙昧なり! 三蔵法師!
沖田総司・ライオン・李衛公・カスター将軍
ジャネット・リンの微笑
釜鬼の輪
溶ける蒲団
パチンコの舞い
白地に赤く日の丸染めて
月光から円光へ
Ⅱ「急がば、回れ」か 抽出し人間と倉庫人間
中は命中の中 左でもほどほどでも右でもない思考
意志薄弱のフル・ストップ 現代句読点論
無限は角のない正方形 広告のマンダラ体質とその罠
大団円論
Ⅲ 日常の円群 完全の乱費
しぶとい穴 横井庄一とロビンソン・クルーソー
踊っているアンズの実 空飛ぶ円盤の「かたち」
幽霊の歩き方 見えない円と見える円
自跋 とりつく島もない
◆回想集『草森紳一が、いた』に、連載当時の「デザイン」編集者の出村弘一氏が、
「万年床の君子「円の冒険」連載の頃」を書かれています。
◆引越し時に、なんと、回想集の新本が入った段ボール箱が残っていたのを発見。
購入希望の方は、info@harumi-inc.comまで。(全528頁、送料込み3300円です)