いつそんな話をしたのか、覚えていない。
その後、私にそのような事態が起こるとはよもや考えてもいない。
しかし、一家の大黒柱の男が亡くなるということは、その家族、親族に
さまざまな問題を引き起こすことになるらしい。
もうすぐ10年になるのかとあらためて思う。
その問題があまりにも大きく、父の会社を継いでいた社長に私は土下座していた。
「母と私をお助け下さい」と。
草森さんの言った言葉はもう一つ、「一番恐いのは組織、会社よ」。
そして、その言葉通り2年後、道義的問題より企業利益優先で問題は決着する。
いやしかし、その過程を経て、私は多少はたくましくなったし、現在、母と私が元気で在るのは、
その社長と多くの人たちのおかげだ。
企業も人なり、国家も人なりと今も心底思う。土下座はもう十分だけれど。