その先は永代橋 草森紳一をめぐるあれこれ

「もの書き」草森紳一の蔵書約3万冊は、2009年11月故郷の帯広大谷短期大学に寄贈されました。 このブログでは、以後の草森紳一関連ニュースをお伝えしていきます。写真 草森紳一

「もの書き」草森紳一の蔵書約3万冊は、2009年11月故郷の帯広大谷短期大学に寄贈されました。このブログでは、以後の草森紳一関連ニュースをお伝えしていきます。 写真 草森紳一

人はどこから来て、どこへ行くのか。草森家の歴史 (NO.6)

  1年ぶりの駆け足の北海道でしたが、今回は記念品などの荷物が重いため宅急便で東京に送りました。弟の草森英二さんから手渡された紙包みも重かったので、そのまま宅急便の箱に。帰京してから、届いた荷物を開いてビックリ! 
 英二さんから受け取った紙包みの中はなんと、草森家一族に関する本でした。
 『北海道開拓九十年 草森家のあゆみ』と題され、A4判、全234頁のりっぱなものです。
 目次の冒頭は、「開拓九十年を迎えて草森家のルーツをたずねる」と「古き源を訪ねて」、以後は草森83家の名前が次から次へと並んでいます。

    

 本書によれば、草森家の祖は、越中国(現、富山県砺波市)に寛政4年(1794)頃生まれた孫六という人らしく、明治3年の平民苗字許可令で「草森」となったいきさつ、明治30年に北海道開拓をめざし入植したことなどが当時の地図や資料、写真入りで詳しくまとめられています。
 83家それぞれのページには、精密な家系図と和やかな家族写真も掲載。草森名の家のみならず、お嫁入りして姓が変わった女性の家も含まれていて、各家の歴史やつながりが家長によって語られます。心打たれるのは、幼いころから見聞きしてきた北海道開拓の苦労、暮らしの変化、先祖への思いです。

 本書の刊行は平成元年で、草森家のあゆみ刊行委員会の発行。調査収集と編集にあたった親族の代表草森敏昭氏は、初代の孫六から六代目に当たり、草森紳一より10歳年上の従兄になります。
 「開拓八十年目に、私達の先祖の苦労はいかなるものであったか、と親類相寄りまして、草森家のあゆみなど書き残してはときまり、〜〜」と冒頭にありますが、完成までに十年をかけたまさに執念の一冊。

 草森さんの、「家」に対する思いは複雑なものでしたけれど、深く広く人間と暮らしとその背後にある歴史を見つめる目のルーツを、この本のなかに見た思いです。

(写真・左 表紙の題字は、草森さんの父親草森義経氏。/写真・中 左上が3代目の興次郎夫婦、下がその長男の由太郎夫婦、右上は明治41年建立の住宅、右下は分家した3代目の要蔵夫婦で、左はその次男(長男没後、長男となる)で4代目の清吉夫婦。義経氏は清吉の4男で、草森紳一はその長男となります。フゥ…間違っていないでしょうかねえ。/写真・右 軍人時代の義経氏、左下は草森義経夫婦(つまり、ご両親)。草森さんが帯広出身としてきたのも、先祖が現在の帯広市大正町に小屋を建て、そこから開墾を始めたからかもしれません)
 

崩れた本の山の中から 白玉楼中の人