7月24日の「毎日新聞」朝刊に『記憶のちぎれ雲』の書評が出ました! 以下、毎日新聞のサイトからの引用です。
今週の本棚・新刊:『記憶のちぎれ雲』=草森紳一・著 (本の雑誌社・2940円)
草森紳一(一九三八−二〇〇八)未刊行の人物論。若き日、一九六〇年代に出会った真鍋博、古山高麗雄、田中小実昌、伊丹十三らの回想。圧巻は「中原淳一・葦原邦子」の章。十分な前置きもないまま、白い邸宅の間取りからはじまり、読む人にも書く本人にも、それからの展開がわからないという「展開」。中原淳一が階段から「吹矢」のように飛ばした、妻・邦子へのひとことへ進み、家族の深淵(しんえん)にたどりつく。とはいえこんな無謀、無計画なエッセイを読んだことのある人は少ないだろう。
一見、筆の流れのままに進む。だがそこには、独自の意識と節理がはたらく。発見と感動の空気がきらめくのだ。その軽やかさ、自在さ、美しさ。日本のエッセイの世界をひろげる、珠玉の文集。(門)
神保町の東京堂書店さんでは目立つ所に置いてくださいました。ありがとうございます!