その先は永代橋 草森紳一をめぐるあれこれ

「もの書き」草森紳一の蔵書約3万冊は、2009年11月故郷の帯広大谷短期大学に寄贈されました。 このブログでは、以後の草森紳一関連ニュースをお伝えしていきます。写真 草森紳一

「もの書き」草森紳一の蔵書約3万冊は、2009年11月故郷の帯広大谷短期大学に寄贈されました。このブログでは、以後の草森紳一関連ニュースをお伝えしていきます。 写真 草森紳一

棚の大そうじで発見! 日曜美術館のビデオ


 草森さんが初めてテレビに登場するのは、1989年5月28日放送の「NHK日曜美術館」です。三木淳さんから頼まれて酒田市にある土門拳記念館の案内役として出演したのでした。
 4月28日のブログ(初の女性報道写真家・笹本恒子さんについて)でも書きましたが、草森さんは対談も、講演会も苦手。テレビなんて断固おことわりでしたが、土門拳の弟子で初代館長の三木淳氏からの「土門さんは、今も寝たきりなんです」の最後の一言で、お引き受けしたと聞きました。脳出血を繰り返し半身不随になりながらも『古寺巡礼』などの撮影を続けた土門拳は、1979年から昏睡状態だったのです。

 記念館は鳥海山をのぞむ素晴らしい立地にあります。映像では、竹林と池のそばに立つモダンなコンクリート打ちっぱなしの建物の向こうから長身の草森さんが歩いてくる冒頭のシーンが印象的でした。このときの番組がNHKアーカイヴに残されているので、NHKに勤務なさっていた方にDVDを入手できないものかご相談したのですが、とても手続きが難しいということで考えあぐねて放り投げてしまっていました。
 草森さんの写真展をやることになり写真について考えることが多くなったある日、偶然整理を始めた棚の奥の奥からそのビデオが出てくるとは! タイトルの文字は几帳面な弟の字ですから、録画して送ってくれていたのでしょう。すっかり忘れていましたので、まるで草森マジックのよう!!

 22年前の映像は色がやや退色していますが、加賀美幸子アナウンサーの声が懐かしい。内容は、谷口吉生の設計による建物、イサムノグチの彫刻と勅使河原宏の庭など記念館の説明、土門拳その人の生い立ちと仕事、そして草森紳一による仏像、肖像写真、筑豊の子どもたちの写真解説など、3つの要素で構成されています。草森さんは、「対象に乗り込んでいって撮るのが土門さんの方法だと思っていたけれど、今回見て、土門さんの写真は″書″に近いのではと思った。書とは彫るものです。〜〜」「詩書画三絶という言葉がありますが、土門さんは最後の文人写真家」などと非常に興味深い解説をしています。これは貴重です。

 その後のテレビ出演ですが、1992年TBSの「ニュース23」で築紫哲也さんと散歩しながら新刊『散歩で三歩』についてのよもやま話、1995年NHKのETV特集「書という芸術への旅」では石川九楊氏との対談で、3回だけだったのではないかと思います。

崩れた本の山の中から 白玉楼中の人