大倉舜二氏と言えば、立木義浩、篠山紀信に並ぶ写真家のお一人で、草森紳一の大親友ですが、
中学生のときから『装苑』や『ジュニアそれいゆ』で育った私には、忘れられない名前です。
当時は服飾雑誌の数も少なく、きれいなページをあこがれの気持ちで眺めたものです。
品のある美しいモデルと、すてきな服や着物。「大倉舜二」という写真家の名前もくっきりと脳裏に刻まれたのでした。
その後、ファッション写真以外の、歌舞伎や料理の端正な写真の数々や、蝶の貴重な写真『ゼフィルス』についても知ることになるのですが、
今回出版されるのは永遠のジャズ・ミュージシャンたちの写真集。1961年から90年までの集大成です。
「ファンキー・ショット!」という草森さんの原稿も掲載されていて、2月中旬刊行予定(芸術新聞社)。もうすぐですね。
「二人の記念写真」というテーマで撮られた写真があります。「崩れた蔵書の山の中から」ブログでもご紹介したことがあるのですが、アンコール!
煙草を手にした二人のワル――。まるで映画のワンシーンのようですね。写真嫌いの草森さんが異常なほど緊張して大変だったと編集担当の平野さんがこぼしていましたっけ。
『フランク・ロイド・ライトの呪術空間』(フィルムアート社 2009年)には、切なくなるほどの大倉さんの追悼文が掲載されています。
(『流行通信』二人の記念写真より。1980年2月号)