季刊『三田文学』の春季号(NO.105)に「“物書き”草森紳一 日本文壇の“鬼才”」と題された随筆が掲載されました。筆者は、慶応大学名誉教授の岡晴夫先生。草森さんと同じ中国文学専攻科卒業で一年後輩にあたります。
奥野信太郎、村松暎両氏が教授でいらした時代の、慶応大学中文ののびやかな気風を知るお一人です。
草森さんが亡くなった後、遺族や友人たちからさまざまなエピソードを耳にされ、中でも草森さんの「俺は七つの顔を持ってるんだ」という言葉の凄さにしびれた、とお書きになっています。
「〜〜彼の死そのものが衝撃的であった。〜〜筋金入りのプロとしての物書き人生を貫いた。〜〜」
「人物像を含めて一筋縄ではいかないところ、それをさらに筋金入りにするのは、この変化の術にも依るのであろう。私が知っていたのが彼の一面でしかなかったのも至極当然なのである。」
“鬼才”という言葉は中国の唐代の詩人李賀にのみ冠せられる言葉です。大学時代、奥野先生の授業で李賀に出会い、李賀を一生のテーマにした草森紳一に、岡先生は李賀と同じ「鬼の才」という言葉を冠して、深く追悼なさっています。
文末で回想集『草森紳一が、いた。』に触れてくださっているのもありがたいこと! ぜひ書店で手にとって、お読み下さい。
*2011年4月以後の、草森紳一についての文章や、『草森紳一が、いた。』の書評、紹介文を目にされた方はお教えいただければ幸いです。