今日は春らしい輝きにあふれた美しい日でした。
4月5日は清明といって、天地万物にすがすがしい気が満ちてくるのだそうです。
ニュースを聞くたび、やり場のない思いにとらわれますが、明るく乗り切っていかなければ。
左は、60年代に「フ−テン」や「若者たち」で一世を風靡した漫画家、永島慎二さんによる草森紳一の似顔絵です!
2005年に永島さんが亡くなられ、似顔絵は各々の人に贈られたそうですが、草森紳一の連絡先だけがわからず、そのままになっていたとか。昨年、蔵書整理のブログにお問い合わせがあって、いただくことができました。
いったい何年ごろの絵なのか?
仲介して下さった吉井孝博さんが丹念に調べて下さり、『COM』の1967年9月号に草森さんが書いた「フ−テン詩人と生活まんが」のカットだということがわかりました。
(文章は、1974年に双葉社から限定出版された『漫画のおべんとう箱』に入っています)
永島慎二と言えば、草森さんにかわいがっていただいた弟が大ファンでした。詩作と演劇に熱中していた中・高校時代、親友の竹本健治さん(作家になった健ちゃんですが、当時は漫画家志望でした)と『青春裁判』を劇化して演出、主演もしています。
阿佐ヶ谷で娘さんの永島小百合さん、吉井さんとお会いして、そんなこともお伝えしながら、私は弟にとても多くを負っているなと、いまさらながら思いました。
推理小説、中国の古典、SFが好き。そして何より映画が好きで、映画監督になりたかった弟は、草森さんとの接着剤のような役割を果たしてくれていたのでしょう。
中目黒の病院に入院していたとき、足元もおぼつかないのに「桜が見たい」とわがままを言って、草森さんが連れて行ってくれたのが永代橋でした。3月5日なのに大寒桜は満開。その時のことを草森さんは、『東海洋士追悼集―やさしい吸血鬼』(2004年)に「永代橋の桜」という題で書いてくれています。
桜の季節が、亡くなった人を偲ぶ季節になってしまいました。人と人との巡り合わせの不思議を考えながら。